中国製ギョーザ事件、なぜ伏せる |
この情報は、洞爺湖サミットの前に日本政府に伝えられていたというが、それを日本政府は公表していなかった。
その理由は、捜査中の事件のため公表すると捜査に支障が出るためと福田首相はいう。
問題の天洋食品のギョーザは、中国国内から回収されて天洋食品に保管された。
それがふたたび市場に出回り、そのギョーザを食べた消費者が中毒になったのだから、日本国内でメタミドホスという殺虫剤が混入されるということはありえない。
この点は警察庁が鑑定の結果、日本国内で混入されたとは考えられないと発表していた。
その根拠は、検出されたメタミドホスが日本国内に存在しないものであること、さらにパッケージには破損個所がなくが密封状態にあることである。
これに対し中国側は、実験のデータも示さずに包装が密封されていてもメタミドホスが混入すると強弁した。
そもそも毒物混入のため回収された食品がふたたび市場に流通するということ自体が不可解なことであるが、これも食品の安全性に対する中国側の認識の甘さのあらわれであろう。
ところが食品の安全性に対する認識の甘さというか関心のなさは、わが福田首相も負けていない。
読売新聞にこの件をすっぱ抜かれて「捜査中のため公表すると捜査に支障が出る」というが、これが公表されて捜査にいったいどんな支障があるというのか。
それどころか中国には多くの日本人が住んでおり、そのひとたちの生命健康を守るべき日本政府の責任もを放棄した。
こんな言い訳がまかり通れば、政府の都合のいい判断で国民の知る権利は侵される。
今回の事件で思い出されるのは、平成14年5月8日発生した瀋陽(しんよう)日本領事館の北朝鮮住民の亡命事件のさい、中国の武装警察が立ち入り亡命住民を引きずり出すのを手をこまねいて傍観していた日本領事館側の対応である。
外国の領事館というのは、その国の管轄権がおよばない、すなわち治外法権というのが国際慣習法上で確立している。
館員が中国警官の落とした帽子を拾ってチリを払ってわたすシーンが象徴的だ。
内閣は、食品の安全のため消費者行政推進担当相を創設し、野田聖子を入閣させているが、その大臣にも知らされていなかったというおそまつぶりが露呈された。
これでは、支持率をあげるために彼女を入閣させたと言われてもしかたあるまい。
国民の目線にたった「安心実現内閣」と自賛しているようだが、それこそ「偽装」で所詮(しょせん)「他人事(ひとごと)内閣」といわざるをえまい。