シカを解体する |
狩猟をしている友人が、鉄砲で獲ったのだ。
かれは、猟は好きなのだが、食べるほうはどうも苦手のようだ。
いなか暮らしをしていると、このように猟の獲物をもらうこともある。
獲物をたおすと、すぐ心臓を刺して血を出す処置を血抜きというが、この血抜きは終わっていた。
どの動物でも同じだが、この血抜きをしないと肉に血が混じっていてうまみを損(そこ)ない、野生動物特有の臭みものこる。
まず、内臓をとりだす。
横隔膜(おうかくまく)を境にして、上側に肺臓、肝臓、腎臓、心臓、脾臓(ひぞう)のいわゆる五臓が肋骨(ろっこつ)の内側にある。
これをとり除くと、下側に大腸、小腸が大きな袋の中に入っているので、これもとり除く。
それから、皮はぎにかかる。
牛刀という刃渡りのみじかい捌(さば)き専用の包丁で、皮をはいでいく。
はいだ皮の端を引っぱりながら、皮と肉との境目に包丁をこきざみに入れていくと、皮がはがれる。
つぎは、四肢(しし)を解体する。
前足は、肩甲骨(けんこうこつ)という肩の付け根の骨から分離する。
後ろ足は、骨盤の関節で切る。
これで、前足と後ろ足が離れた。
さらに、背身(せみ)とよばれる背中の肉を切り離す。
背身は背骨の左右ついている最高級の肉で、牛ならロースとよばれる部分だ。
背骨にそって包丁を入れて切っていき、方向を変えてこんどは肋骨にそって切っていく。
こうやると、人間のおとなの上腕部の太さもある長い背身がとれた。
求菩提山