よいとまけ |
このランマーというのは、建設現場などで地固めに使われる小型の機械である。
上の方にエンジンがついており、シリンダー内を爆発させて機械自体を飛び上がらせ、落下させる。
そのことを繰り返させ、そのときの重さを利用して土などを固めるもの。
広いところなら、舗装工事などで見るローラー車が使われる。
ところが、せまいところを地固めするときにはランマーが有効である。
しかし、このランマーは何年も使われていないのでエンジンがかからない。
どうも、キャブレターが詰まっているらしい。
そこで、キャブレターをオーボーホールし、灯油で洗って組み替えた。
それでも、エンジンはかからない。
土を締め固めるには、輪切りにした丸太に4本の棒を打ちつけ、ふたりが向き合ってこれを持ち上げ、落とす作業を繰り返した。
これが新築現場になると、櫓(やぐら)を組んで滑車をつるし、おおぜいで綱を引いて大きな石を持ち上げ、落として地固めした。
これを、「よいとまけ」といった。
ちいさい時分、そのよいとまけがあっていたので見に行ったことがある。
そこには、男たちにまじって綱をひいていた母の姿があった。
あれは、小学2,3年のことだったろう。
丸山明宏の歌った「よいとまけの歌」を思い出して口ずさむと、ちょっぴりセンチメンタルジャーニーになった。
キャブレターをオーバホールしてもなおらないので、矢浦モータースに持っていった。
かれは、キャブレターのメーンジェットという穴にオイルのカスが詰まっているという。
この穴が詰まると、燃料がキャブレターに流れないことになる。
これを取り除いてもらい、スターターの紐をひっぱるとブルル…とエンジンがかかった。
さすが、餅は餅屋だ。
よいとまけの歌
父ちゃんのためなら エンヤコラ
母ちゃんのためなら エンヤコラ
もひとつおまけに エンヤコラ
1.今も聞こえる ヨイトマケの唄
今も聞こえる あの子守唄
工事現場の昼休み
たばこふかして 目を閉じりゃ
聞こえてくるよ あの唄が
働く土方の あの唄が
貧しい土方の あの唄が
2.子供の頃に小学校で
ヨイトマケの子供 きたない子供と
いじめぬかれて はやされて
くやし涙に暮れながら
泣いて帰った道すがら
母ちゃんの働くとこを見た
母ちゃんの働くとこを見た
3.姉さんかぶりで 泥にまみれて
日にやけながら 汗を流して
男に混じって ツナを引き
天に向かって 声をあげて
力の限り 唄ってた
母ちゃんの働くとこを見た
母ちゃんの働くとこを見た
求菩提山