がに湯 |
6時まえから、小鳥たちのさえずりがはじまった
ヒガラ、オオルリのさえずりが、うすいテントを透して聞こえる
アオゲラが木をつつくドラミングのひくい音もひびく
それに、奧岳渓谷のせせらぎが調和する
祖母から傾山にかけての縱走路が、シルエットとなってそびえている
天狗岩は、天狗のお面を仰向けにしたような形をしている
出っ張りがおでこ、くぼみが目、とんがったところが鼻、裂け目が口に、いつみても天狗のお面にみえる
むかしから、ひとびとは高い峰ををあおぎみて山をうやまい、山を畏(おそ)れた
「天狗岩」とよばれる岩は各地にあるが、ここから仰ぎみる姿が天狗のお面に似たところから付けられたと信じている
高校の登山部が、一列をなって出発した
これから県道8号線を北上して、緒方町にむかう
やがて原尻の滝についた
朝がはやいため、観光客はいない
この滝は、内側に弓状にまがった幅120m、落差20mの直瀑で東洋のナイヤガラの滝ともいわれている
滝頭(たきがしら)が田圃と同じ高さであるところから、陥没してできた滝である
いわゆる川の底が抜けして滝ができた
瀧の上を車が通っていくので、少々がっかりさせられる
つぎは、「がに湯」のある長湯温泉にむかう
長湯温泉は、炭酸温泉である
この炭酸温泉というのは、温泉に炭酸が多く含まれているもので、湯船の表面で炭酸がぴちぴととはじける
湯船に浸かると、体の皮膚いちめんに小さな気泡がひっつく
炭酸水に砂糖を入れて飲むと、ラムネになる
GWのため、長湯温泉はたいへんな人出である
長湯温泉名物の「がに湯」に行ってみた
「がに」というのは、このあたりの方言でカニのことをさす
がに湯は、芹川という川のなかに石を組んでつくられている
兄ちゃんが、ひとり入っていた
観光協会に雇われたサクラかときくと、そうではないという
芹川の両岸には、旅館が建ちならんでいる
そのため、がに湯に入るには勇気がいる
ところが、だれかひとりでも入っていると、入る抵抗感というものがうすれる
金丸氏が、果敢に服を脱いで湯に入った
湯加減は? すこしぬるいという
そこで、こちらも入った
湯船は、カニの形をかたどって川の石を積んでつくられている
お湯は川底から沸いているものと思ったら、ホースで引かれてきていた
鉄分が多く、黄土色をしている
お湯はぬるい
岡山から来たという若夫婦のうち、ご主人だけ入ってきた
かれは、GWを利用して温泉めぐりをしている
きょうは、南阿蘇の友人のところで宴会だという
熊本からきた、ハーレーに乗ってきたライダーも入ってきた
それに、東京からきたというライダーも入ってきた
たちまち、ライダーたちの情報交換の場となった
ライダーハウス 「夢職庵」 オーナーのバイク日本一周記、過去記事:求菩提山