雪の朝 |
だいこんの畑に、入る。
ポキポキと、足元で小気味いい音がする。
霜柱が立っている。
うちの前を、三人の学童が学校へ急ぐ。
毛糸のマフラーに、顔が埋まっている。
ちいさな水たまりに、氷がはっている。
ランドセルがゆれ、かかとで踏んで氷を割ろうとしている。
どうしても、割れない。
ひとり遅れ、白い息をはきながら先を行く友だちを追いかけていった。
空からおびただしい雪の精たちが舞い降りてきた。
急ぎ足で、ななめに降りてくる。
群れになって巻きながら舞い降りてくる。
下からふたたび上へ舞いあがり、一瞬とまったかと思うと、急にまた降りはじめる。
花びらのように、ひらひらと舞うもの、なかに、他とぶつかるあわてものもいる。
空中での遊泳を惜しむかのように、舞い降りてくるものもある。
遠くの校舎も、降る雪にさえぎられて煙って見える。
「ジージー」、ストーブの上の大ヤカンのふるえる音がする。
ここは、求菩提(くぼて)の里。