都知事・舛添要一 |
そのひとつは豪華な外遊であり、もうひとつは毎週末行っている奈川の湯川原の別荘地でのお泊まりである。
まずひとつめについては、お供の者20人を引き連れてのさながら「大名行列」である。
驚くのは、その連れの数の多さだけではない。宿泊は、豪華ホテルのしかもスイートルームときている。供の者は都庁の職員であるところから、部下へのサービスであろう。しかし、この費用を自分のポケットマネーから出すのならいざ知らず都民の税金でまかなうというのは、市民感覚とはずいぶんかけ離れており、公私混同もはなはだしいといわざるを得ない。
スイートルームで泊まるのは、「急な要人が来た場合、相手に失礼のないようにするため」と記者会見で強弁しているが、スケジュールは前もって綿密に調整されているはずであるし、外国に行ったのなら自分から出向いてくのが筋というものであろう。ちなみに、現実には誰もホテルに彼を訪ねてきていない。
ニューヨークでは証券取引所で取引開始のベルを鳴らしてたいへんご満悦のようだが、こんなことは彼がいつも言っている「トップリーダー」の仕事でもあるまい。
それと彼は「都市外交」を標榜しているが、外交といういものは国と国との交渉であり、その権限と責任をもつ首相か外務大臣の専権事項である。それは地方自治体の長ができることではあるまい。これができると思っているのなら思い上がりもはなはだしい。
つぎにふたつめである。東京都の最高責任者が毎週末都内にいないというのでは非常事態が発生したとき対処できるのかという素朴な懸念である。
これについて彼の弁明は、「股関節を手術しているので足を伸ばせたいが、わが家の風呂は小さいのでそれができない。湯川原の別荘の湯舟は広いので足が伸ばせる」というが、それなら自宅の風呂を広い湯船に改造すればすむことではないか。北の大地の北海道にも立派な別荘も持ち、数頭の競走馬の馬主である彼のことだ、自宅の風呂場の改築ごときで金に糸目をつけることもあるまい。
毎週末自治体の長が都内にいないことについて「通話手段が確保しているので、非常事態にもすぐ対応できる」と強弁するが、都庁から100kmも離れていては戻るまでに時間がかかりすぎる。
これについては、福島第一原発の事故のとき、ときの総理大臣の菅直人氏がヘリコプターで現地に飛び、それがため官邸の危機管理体制に空白が生じて大きな問題となった。
前の都知事の猪瀬直樹氏は、医療法人・徳洲会グループから袖の下5,000万円をもらって辞職に追い込まれた。
舛添要一氏は、母親の介護をしたことを前面に出してテレビに出て有名になり、これを足掛かりにして政治の世界に入った。この点は元総理の田中角栄氏の介護をしたことを前面に出して政界に進出した田中真紀子氏によく似ている。その当時は、介護の問題はいまほど問題になっていなかったから、この話題が選挙の結果に大きく貢献した。