子犬の訓練-2 |
すると、吠え立てるチビに触発されたのか、あとの2匹もときたま吠え出す。
しかし、その2匹には緊張感が感じられない。
まあ、4カ月弱の子犬はこんなものか?
1年前、まだ7か月齢であったビーグルの黒に、はじめて箱罠の中のイノシシを当てた時のことを思い出す。
黒ははじめ単犬では吠えることができず、同胎犬の白といっしょになってやっと吠え出したものである。
したがって、きょうの子犬たちに落胆はしていないし、チビに過剰な期待をかけてもいけない。
「藍(あい)は双葉より青し」といわれ、素質のあるものは幼少から才能がみられるといる。
これに対し「大器晩成」ということばがあり、幼少時は鈍だが、長じるにしたがって大器となるものがあるという。
どちらも真実をとらえているといえよう。
そこで、わが家の切り札である求菩提犬(くぼてけん)初代先犬のLeeを連れに戻った。
Leeを離す。
Leeは箱罠の中のイノシシを認めや、顔を低くした姿勢で二声吠えただけで、あとはまったく無視する。
かれは、イノシシの置かれた状況をすぐにさとり、人間の手に落ちた、つまり人間の管理下にあるイノシシに闘争心を打ち消したのである。
しかし、これでは子犬の訓練にならないので、子犬の母親であるビーグルの黒を連れに戻る。
はたして、黒がどうするかだ。
黒はまだ2歳で、単犬で獲らせたことはたったの一度しかないまだ発展途上にある兵士で、箱罠の中のイノシシに向かって盛んに吠える。
これなら、子犬の訓練になる。
そこで3匹の小犬を一度に軽トラからおろし、母親につけると3匹は安心したのかいっしょに吠えだした。