ミツマタ(三椏・三叉) |
(今を盛りに咲き誇るミツマタ)
(ミツマタの並ぶ山道)
シカ除けのフェンス張りの手伝いに行った。
この辺りはシカが異常に増えており、お茶の葉、野菜、柑橘類の葉、植えたばかりの稲の早苗などが食べられる被害が増えている。
水田の山際(やまぎわ)に、ミツマタが5本今を盛りに咲き誇っている。
葉に先立って、いくぶん黄色がかった半球状の花が枝先に咲いていて、その場所だけ華やいだ雰囲気になっている。
ミツマタはジンチョウゲ科に属する落葉低木で、枝別れしたところからはすべて三本ずつ枝が出ている。
そのため、「ミツマタ」という名前がついたのあろうと容易に想像できる。
近づくと、甘い香りがいちめんに漂(ただよ)っている。
求菩提山(くぼてさん)は修験者の山で、いちばん多いときには500坊もあったという。
ミツマタの樹皮は和紙の原料となるので、諸国を行脚(あんぎゃ)した山伏がミツマタを持ち帰り、これを植えることを里人に奨励したと伝えられており、いまでは求菩提谷に春を告げる花となっている。
ミツマタを原料にして漉(す)かれた和紙は、強度があり、西洋紙のように日焼けすることもない。
そのため、障子紙につかわれる。
そのうえ、しわになりにくく虫にも食われないので今でも1万円札などの紙幣に使われている。
九州地犬の底力