二ホンミツバチの捕獲―1号群 |
民家の床下にミツバチガスが巣をかけているので取ってくれとの連絡を受けた。
さっそく、押っ取り刀で駆けつける。
民家の基礎の通風口から、盛んにニホンミツバチが出入りしている。
屋内に入り、畳をはぐる。
つぎに、畳の下の板を取りのぞく。
すると、床下の壁にミツバチが巣をかけていた。
そこで、魚とりの網をかぶせてミツバチの塊をその中に取り込む。
これを持ってきたミツバチの箱に入れると、ミツバチが上へ上へと這(は)っていく。
しばらくそのままにしておくと、付近を飛び回っていたハチたちも中に入っていったので女王蜂は確保されたようである。
これを箱のまま持って帰り、あらかじめ借りている山の中に据(す)える。
ここならミツバチが農薬の空爆を浴びる心配がないからである。
ミツバチの天敵は、スズメバチと蛾(が)の幼虫である巣虫だが、最近はそれ以上の天敵が現れた。
それは、ヘリコプターによる農薬の空中散布である。
抵抗力のないミツバチは、このヘリコプターによる農薬の「空爆」を浴びるといちころである。
なんでも、神経を侵されるそうだ。
ここ数年、「ミツバチがいなくなった」と話題になっているが、その原因の主なものがこの農薬の空爆である。
じゅうたん攻撃の空爆で害虫を殺せば、いっしょにミツバチも殺される。
ミツバチがいなくなれば、果物の木にとって花の受粉が行われないため実がならず、イチゴ、ブドウ、リンゴや柿農家などに大きな打撃を与える。
自然界の生態系というものは、微妙なバランスの上に成り立っていることがわかる。
すなわち、稲に対する害虫を皆殺しにすることにより、果物の受粉になくてはならないミツバチも犠牲になる。
人間もこの空中散布でこの農薬を吸い込んでいるはずであるが、人間は体が大きいのでただちには健康上の影響を受けないだけであろう。
しかし、いずれそのしっぺ返しを受けるときがくるので、覚悟だけはしておくべきだ。