福岡第1次遠征猟初日 |
猪犬:求菩提犬初代先犬のLee(♂)とその直子で二代目先犬の黒(♂)、Leeの直子で6ヶ月齢の赤(♀)
獲物:50㎏のメスイノシシ
いよいよイノシシ猟の激戦区に乗り込む。
この激戦区というのは、九州のイノシシ猟師で腕におぼえのある者ならかならず一度は出猟するといわれる地域である。
そこには我こそはという猟師が多く集まるので、イノシシも犬慣れ鉄砲慣れしているだけに獲物を捕獲するのもむずかしいゆえに「激戦区」といわれている。
その激戦区の近くに後輩が住んでいるので、彼を頼って出猟する。
はじめての共猟となる。
まず、彼の犬2匹入れる。
山は海岸に近いので、マテガシ、スダジイの木が多い。
なるほどこれだけ、マテガシ、スダジイがあるとドングリが多く落ちている。
噛み砕かれたドングリがほとんであるが、なかには実の入ったどんぐりも見受けられる。
ドングリはイノシシの好物であり、それを食べたイノシシは最高質の肉となる。
すなわち、赤みは粘りがあり、白身は真っ白をしている。
豊富なドングリ類のある山のイノシシは、腸(はらわた)を出してみると総じて胃袋は小さいといえる。
いつでもドングリを食べることのできる環境にあるイノシシは、いわゆる食いだめをする必要がない。
腹がへれば、いつでも食べることができるから胃拡張にならないのであろう。
それに引き換え、餌(えさ)の少ない山のイノシシは食いだめをする必要があるので胃袋は大きくなっている。
まもなく先の方で、彼の犬が吠え出した。
イノシシを見つけたようだ。
彼が寄りついていき、一発鳴らした。
こちらが駆けつけると、大きな岩の下にオスイノシシが倒れていた。
そこは、岩と岩の上に橋をかけるように平たい岩が乗っており、その下が空洞になっている。
これなら雨にも濡れず、台風がきても心配ない。
三方がふさがれているので、背後から犬に襲われることがなくイノシシにとって天然の要塞(ようさい)となっている。
2ラウンド目は、山をかえて夢職庵(むしょくあん)の誇る求菩提犬初代先犬のLee(♂)とその直子で二代目先犬の黒(♂)のツートップを投入する。
このツートップのシステムは、とりこぼしというものがほとんどない。
密生する真竹の中で、ツートップが吠え出した。
イノシシを起こしたのである。
寄りつくと、真竹の間にわずかなスペースができており、そこにイノシシの横顔が見えた。
その横顔を狙って一発撃つ。
イノシシが倒れた。
ところが、ツートップがこのそばで別のイノシシを咬んでいる。
イノシシが、2頭いたということになる。
犬が咬んだイノシシの後ろ足を持ってその場に仰向けに倒し、頸動脈を刺して作戦終了である。
犬が吠え立てていたのは、別のイノシシであったことになる。
たしかにこの地域の山は、イノシシが多いことがわかる。
それだけ、この地域はエサが豊富なのであろう。
わが家のまわりでは、2ラウンドもこなすようなことはほとんどなく、ほとんど1ラウンドで終了となる。
動画:初代先犬「Lee」の猟芸
動画:二代目先犬「黒」の猟芸
百聞は一見にしかず:秘犬・求菩提犬(くぼてけん)の仕事ぶりを動画で見る