大分県日田市の三隈(みくま)川 |
ただし、三隈川は熊本県の川ではなく、大分県の北西部に位置する日田市を流れる川である。
三隈川の下流は、有明海にそそぐこむ大河・筑後川である。
この筑後川の上流域に夜明けダムがあり、このダムから上流を三隈川という。
そして三隈川には、大山川、玖珠(くす)川というふたつの支流がそそぎこんでいて、鵜飼(うがい)に代表されるいわゆる「水郷(すいきょう)・日田」を演出している。
そこで、この3川のうち自宅からいちばん近い70キロの三隈川の下見に行く。
そのホームページでは、三隈川のポイントは「KDDの裏側が有名である」と書かれている。
そこでKDDをさがすが、どうしてもみつからない。
ちょうど釣具屋があったので、そこで聞く。
その店の奥さんが、「わかりにくいので私が案内します。ついて来てください」という。
はじめてのひとを、わざわざ案内してくれるというから親切な方もいるものだ。
これは、意外な展開となった。
「ポイントのところでは、私が窓から手を出して大きく回します」という。
彼女の車に後からについていくと、まず国道212号線上でとまった。
右側に、三隈川の水面(みなも)が見える。
手を振っただけでは心もとないと思ったのだろう、車から降りてきて「ここ、ナフコの裏もいいポイントですよ」という。
さらに国道212号線を久留米方面にすすみ、また車がとまった。
また降りてきて、「ここ、ヘリポートのあるところもポイントです」と指で川を示しながら教えてくれる。
見ると、なるほど河川敷にヘリポートらしき空き地がある。
ここから国道212号線と別れ、脇道の三隈川の左岸にそった道路を走る。
案内されたのは、TDKという工場の裏側であった。
ホームページに書かれていた「KDD」というのは、「TDK」の誤りであった。
彼女は、「大雨が降って増水すると鮎が夜明けダムまで流されます。それからまた川をさかのぼるので、雨の後はここで大物があがります。」という。
さらに、ここは福岡市まで通じる国道386号線ぞいなので福岡からの釣り客が多く、平日でも50人ほどが立ち込む人気ポイントだと話す。
なんでも先日は馴染(なじ)みのお客さんが、「尺鮎だ!」と意気込んで店に飛び込んできたそうだ。
彼女が検量すると、1尺をわずかに切る29.5センチ重さ260グラムの大鮎であったと話す。
今シーズンの三隈川の大鮎の記録は、いまのところこのときの鮎だそうだ。
もっとも、尺鮎のあがるのは盆すぎから9月下旬にかけてが最盛期である。
このあたりの水の流れている川幅は60メートルほどあり、中トロ場となっている。
流れは一見ゆるそうに見えるが、意外と押しはつよいという。
車の寄り付きはよく、河川の足場もよいのでやりとりはできそうだ。
しかし釣り人が多いというので、そうやりとりもできず、抜くことが要求されるだろう。
きょうは、あいにくのぐずついた天気で、川にはひとりだけ立ち込んでいた。
ちなみにこの親切な釣具屋さんは、日田の梁場(やなば)の近くにある竹田新町の大倉釣具店さんである。
日本の原風景