和紙の里大橋の上流 |
島津青年がお奨めの場所には、先客が立ちこんでいた。
そこで、そのひとつ上流の瀬に入る。
ここは、流れがはやい。
この流れのはやい流芯を鮎に横断させて、左岸ぎりぎりを狙う。
ところが、ここは予想より流れがはやい。
タモが抵抗体となってぶるぶるふるえ、体を押し流そうとする。
脇下まで立ち込まねば、左岸に届かない。
両足で踏ん張るのだが、川底は砂利と小石で、踏むともろく壊れてしまう。
その都度、流されてその場に立っておれない。
そのうち、流れを利用して体全体を上流側に斜めに倒す。
はやい流れに傾いた上体を支えてもらう魂胆(こんたん)だ。
やや体を仰向けにしたような状態で釣る。
それでもこの体制は不安定なので、すぐ体制が崩されてしまう。
オトリ鮎は、右岸ぎりぎりを泳ぐ。
あまり左岸に近づきすぎると、ネコヤナギに根がかりしそうだ。
それでも、野鮎はかからない。
ここは、辛抱の一字である。
ならぬ堪忍するが辛抱だ。
ピリピリと手ごたえがあって、目印がいきなり一気に流れに乗って駆け下る。
かかった!
じわじわと竿を立る。
強烈な引きが、竿を引きしぼる。
竿先がしなる。
はやい流れを避けて、右岸側に足さぐりで移動する。
ゆるい流れとなってやっとオトリ鮎の頭が見えた。
それでも野鮎は見えない。
やっと野鮎が見え出し、それでも慎重に竿を立てて、獲物を寄せる。
イワシほどに成長した野鮎がかかっている。
この日の釣果、3匹。