子犬の成長過程 |
数日前から、鎖でつないでいる。
その鎖にも慣(な)れてきたようで、騒(さわ)ぐことはなくなった。
子犬の3匹は、違う胎(はら)ではあるが、偶然にも同じ4月26日に生まれた。
1匹のオスは、求菩提犬(くぼてけん)初代先犬のLeeと3代目先犬の赤との戻し交配で生まれた。
残りの2匹のオスメスは、求菩提犬Leeと滝の谷系ビーグルの黒とのハイブリッドである。
いずれも昨シーズンの終わりごろに発情がきた。
これは偶然のことで、こちらのコントロールでなされたものではない。
したがって、出猟にはさして支障は出なかった。
しかし、発情の時期としてはシーズンが終わった時期がベストである。
なぜなら、これなら出猟に支障もなく、そのうえ子犬がつぎのシーズンには6か月齢に成長しているので見習いとして山に引けるからである。
二胎(ふたはら)ともことしの4月26日生まれなので、このシーズンの11月26日には7か月齢となる。
したがって、この時期から見習いとして若犬を実戦に引くことができる。
もっとも、この実戦ではイノシシによって淘汰(とうた)されるか猪犬として落伍(らくご)するかは、賭(か)けである。
しかし、このシーズンを無事に生き抜くと、一人前の猪犬にはなれるだろう。
ここでいう「一人前の猪犬」というのは、単犬でイノシシを起こすことができることを言う。
これが猪犬として最低限度の条件で、その後の猟能は天分に恵まれたかどうかによるようだ。
いずれにしても、子犬というものは未知数をもった魅力に満ちた金の卵である。
成犬では伸びしろというものがないが、子犬は大きな可能性を秘めている。
これが子犬を育てるうえで最大の魅力であるとともに、求菩提犬を保存する者の責任でもある。