貂(テン)を木へ追い上げ |
(木に追い上げられた貂(テン))
林道を渡って、ウサギほどの大きさの動物が2匹こちらに向かって走ってくる。
よく見ると、貂(テン)のつがいである。
頭は黒っぽいが、長い胴体はあざやかなキツネ色をしている。
2匹とも、こちらには気づいていない。
先頭の貂が、こちらの左側を通り過ぎていった。
2匹目が、遅れてその後を走ってくる。
こちらが動いたので、そこれは進路を変えてこちらの右側を通り過ぎて行った。
貂の前方から、若犬のPが走って戻ってくる。
そのPが、走ってくる貂に気づいた。
正面から吠え立てる。
それでも、Pは貂から脇をすり抜けられた。
Pが、それを追っていく。
先のほうで、Pの吠え声がする。
Pのところに行くと、Pは貂を見失ってそこらじゅうをかぎまわっている。
その様子から、こちらは貂が危機を脱出するため木に登ったとすぐわかった。
案の定、直径20cmほどの雑木の中ぐらいの高さの枝に貂が乗っており、下を向いてこちらの様子をうかがっている。
Pは、これにはまったく気がつかない。
獲物が木に登ることを、Pはまだまったく知らないのだ。
山は若犬にとってまだ遊園地であるが、しだいに修羅(しゅら)の戦場へと変わっていく。
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