ウリ坊 |
きのうの夜は寝る前には雪は降っていなかったが、朝から降りだした。
たちまち7センチほど積もって、いちめんの銀世界になった。
今年に入って、箱罠(はこわな)に入ったイノシシの仔を買い求めた。
体重は、15㎏ほどと思われる。
イノシシの仔は、小さいうちは体側にマクワウリのような縞模様(しまもよう)があるところから「ウリ坊」とよばれる。
しかしこのイノシシの仔はウリ坊の時期を過ぎているのだろう、縞模様はとれている。
このイノシシの仔に「ブーちゃん」という名前をつけ、畳を横に3枚ならべたくらいの広さの犬舎のなかで飼っている。
猪犬の仔犬の訓練用に使うためである。
ブーちゃんは、さすが「猪突猛進」を表看板とするイノシシの名に恥じぬ体当たり戦法という得意技を披露した。
こちらが水の補給のため犬舎に入ると、こちらをめがけ突進するのである。
これでは危ないので、腸を詰めていたドラム缶ほどの大きさの樹脂製のタンクを転がして犬舎に入れ、これを盾(たて)にして自己防衛につとめている。
ブーちゃんは、自分の何倍もあるこのタンクに体当たりする示威運動をくりかえし、自分の力を誇示した。
ブーちゃんはこんな雪の朝は、どうしているだろう?
寒くはないだろうか?
犬舎のなかをのぞくと、ブーちゃんは樹脂製のタンクのなかで顔を出口に向け、うずくまるようにして寝ている。
タンクのなかはちょうどハンモックのような形をしているので、寝るのに適しているのだろう。
それに、このなかなら風にも当たらず快適なのかもしれない。
そのしぐさに、思わず笑ってしまった。
ブーちゃんは、癒(いや)し系のひょうきんものだ。
求菩提山